ATMから偽札がでてくる中国でいよいよ新札が発行される。


中国人民銀行は今年の11月12日に、新100元札を発行する。第5版となる今回の新紙幣は、デザインはほぼ現行のものが踏襲された。最新の技術を駆使し、横行する偽札の阻止を図る。果たして…。

 

-中国はATMから偽札が出てくるもはや無法地帯!

 中国で生活したことのある人なら、一度や二度は偽札を手にしたことがあるだろう。いまや中国で流通する100元札の偽札率は5%ともいわれ、まさに末期的状況なのだ。中国の通貨(人民元)で紙幣といえば、1元、5元、10元、20元、50元、100元があり、現在のレートで行くと最も大きな紙幣である100元で約2000円(2015.10現在)となる。1元は硬貨もあるが、なぜか地方都市に行くと紙幣を手にすることが多くなる。

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 私が手にした偽札で最も小さいのは5元札だった。日本円にすると100円なのだが、偽札をせっせと作る人はこれでも利益がとれるのかと逆に同情してしまった。卵でさへ偽物を作る中国なら薄利多売とリスク回避を考えると、5元の偽札もあり得るのかと変に納得した。写真(上)は20元札だ。上が本物、下が偽札。一見、見分けがつかないのだが、手にした時の質感や印刷のムラなどからすぐに気がつく。しかし深夜のタクシーでのお釣りだったこともあり、すんなり受け取ってしまった。運転手は意図的にお釣りとして渡してきたのだろう。

 その後も何度か偽札には遭遇してきたのだが、最も衝撃的だったのは銀行のATMから偽札が出てきたことだ。なんと、100元札35枚中7枚が偽札だった。日本円にすると14000円相当。銀行側は番号を機械で調べてるからそんなことはあり得ないと言うが、同じ番号が4枚も出てくる時点で怪しすぎる。さらに銀行側は逆ギレしはじめ、最後は警察を呼んで捜査しようとい言い出した。ここはアウェイの中国。いつも不利なのは外国人。警察が介入することで変に濡れ衣を着せられることを懸念して諦めることにした。

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-今回の新札も偽造防止技術に自信なし!?

 2005年から現在まで使用されている現在のデザインは第4版で、約10年間でその“任期”を終えることとなる。実は第3版が25年間にわたって使用されたのと比べると、かなり短命となるが、その理由が偽札の横行である。人民銀行によると、今回登場する新100元札には、ホログラムやすかし、エンボス加工などを施している。主なデザインは変えずに、表面の「100」の文字に、見る角度によって色合いが変わる技術も。偽造防止用の線や、通し番号の表示を増やす。まさに最新の偽造防止技術を採用しているらしい。

 ではなぜ、また100元札の刷新なのか。前回の刷新が10年前で、その頃と比べると物価も高騰し中国人も随分豊かになった。日本での爆買客は一人当たり20万円以上もお金を使うが、20万円だと100枚の束を持ち歩かなければならない。財布には当然収まらない。中国では高額な取引になると前金制が未だに主流で納品前に30%ほどの現金を収めることもある。そんなことを考えると、やはり多くの中国人が1000元札の発行を待ち望んでいたはずだ。今回も結局は100元札の刷新におさまったところを見ると、当局の自信のなさがうかがい知れる。

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 先ほどのATMの案件でいうと中国国内の各銀行は2014年頃から偽札対策として「去银行查冠字号便知」というのを昨年から本格的に実施していた。ATMから出た札番号をシステムで管理し、要求があれば利用者に通知できるサービスだ。しかしこれ自体、同じ番号が複数枚出てくる時点で機能していないと理解できる。

「偽札40億円分、中国で史上最大規模の製造拠点を摘発 偽100元札2トン押収、積み重ねると建物66階の高さ」

 中国メディアによると、中国広東省の公安当局は25日までに、同省内の人民元札の偽造拠点を摘発し、2億1千万元(約40億円)分の偽札を押収、29人を拘束したと発表した。中国の偽札事件としては過去最大規模という。

参考:産経ニュース (2015.9.25)

 警察と偽札組織のイタチごっこは今後も続くだろう。それは今回の新札が発行された後も。偽札製造に勤しむ印刷工場では、熟練工にもなると日給が20万円近くにもなるという。偽札の印刷は操作を免れるため短期間に集中して行うことが多く、その作業日数はだいたい1週間から10日ほど。10日で200万円稼げるわけなので、その印刷技術にも日々磨きをかけるわけだ。中国ビジネスに携わる我々としては、とにかく偽札を握らないように細心の注意を払うしか解決策はない。

 



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