「どこかに骨を埋める気はない」多拠点ライフを実践する女性〈AERA〉


dot. 9月19日(土)11時40分配信 【引用元:この記事の著作権は、dot.に帰属します。】

都会と田舎、ふたつの拠点を置いて生活をする「2拠点ライフ」のスタイルをとる人が増えている。なかには2拠点にとどまらない、「多拠点ライフ」を実践する人も出てきた。

一般社団法人「re:terra(リテラ)」代表理事の渡邉さやかさん(34)は、小さめのキャリーケースに8センチヒールで、東京、東北、東南アジアを移動する。ビジネスを通じた社会貢献を目指し、地方や途上国でコンサルティングや事業開発に携わる。

一年のうち4分の1は自宅兼事務所がある東京に滞在、4分の1はカンボジアなど東南アジアで、4分の1は東北の沿岸部。残りは国内外の出張だ。

「携帯電話、ノートパソコン、財布にパスポート。この四つさえあれば何とかなる」

大学・大学院での研究の専門は国際協力。その後、ビジネスを学ぼうと、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)に入社した。3年が過ぎ、国際協力の世界に戻ろうと考えていた時、東日本大震災が起きた。

被害の大きかった沿岸部を回るうち、支援よりも息の長い活動の必要性を実感。東北で地域に貢献できる事業がしたいと、会社を辞めた。

「地方を搾取するのではなく、地域のブランドをつくりたい」

渡邉さんは津波をかぶっても枯れなかった椿に着目した。東京の化粧品会社の協力を得て、椿油を配合したハンドクリームやリップクリームを開発し、椿の葉のお茶も販売。間もなく、畑づくりも始める。

深く関われば関わるほど、地域ではこんなことを言われた。

「復興ブームと共に去っていった人と同じか。覚悟を決めろ」

一時は仮設住宅に入居することも考えた。しかし、渡邉さんが最後に出した答えは違った。

「事業はやめない。でも、定住はしない。さまざまなプロが関わらないと商品はできないし、売れない。私の強みは点をつなぐことだからです」

東北の拠点は、地元のプロジェクトのビジネスパートナーの自宅になった。その人が家族と共に住む広い一軒家に居候する。帰れば、本当の家族のように迎えてくれる第2の実家だ。

並行して東南アジアでは女性の起業を支援。地方と途上国をつなぎ、社会を変えるビジネスを生み出したいと考える。日本財団と国際協力機構の主催を取り付けて、9月末には、アジアやアフリカ、中米の女性起業家を招いたフォーラムを東京・渋谷で開く。

「今後、結婚や出産といったライフステージで拠点の比重は変わるかも。でも、まだどこかに骨を埋める気はありません」

※AERA 2015年9月14日号より抜粋

 



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